土地や住宅などの不動産を売る時は、不動産会社に仲介手数料を支払う以外にもさまざまな費用が発生します。税金もそうした費用の一部で、通常は3種類の税金を支払う必要が生じます。ここでは、その内容と負担の目安について見ていきます。
所得税及び住民税は利益が出た場合のみ発生
不動産を売る時、売却によって利益が発生した時はそれを所得と見なし、譲渡所得税と呼ばれる税金の課税対象となります。正しくは「譲渡所得税及び住民税」ですが、不動産業界では一括して譲渡所得税と呼びならわしています。
譲渡所得税は、不動産の売却時に受け取った代金から購入時の費用を差し引き、さらに売却時に支払った諸費用を差し引いて得られた額に対して課税されます。ここでいう購入費用とは、その物件を買った時の代金に加え、仲介手数料や印紙税、測量費などが含まれます。
また、売却時に支払った諸費用にはやはり仲介手数料や印紙税が含まれるほか、占有者がいた場合に立退料が必要となった場合などは、その金額も含めてよいとされています。
税率は当該物件の保有年数によって異なり、5年を超える場合は20%(所得税15%+住民税5%)、5年以下の場合は39%(所得税30%+住民税9%)となります。なお、2037年まではさらに復興特別所得税が上乗せされ、合計の税率は5年超えで20.315%、5年以下で39.63%です。税額は売却した年に確定申告を行って決定します。
印紙税は売買金額の大きさによって額が異なる
不動産を売る時にかかるもう1つの税金は、印紙税です。これは売買契約書を取り交わす際に所定の収入印紙を貼付することで支払う税金ですが、誰が負担するかについて明確な定めがあるわけではないので、売り手側が支払わなくても良いケースもあります。
ただ、通常の売買契約では契約書を2通作り、それぞれに1枚ずつ収入印紙を貼付して売り手と買い手が1通ずつ保管するため、印紙税もそれぞれが1通分ずつ負担するのが一般的です。
印紙税の税額は契約金額ごとの定額となっており、最も安い場合は1万円超2万円以下の200円、最も高い場合は5億円超10億円以下の16,000円ですが、ごく一般的な住居用不動産であればおおよそ5,000円から30,000円程度が負担の目安となります(税額はいずれも2022年3月31日まで適用)。
なお、所得税・住民税・印紙税という3つのほかに、登記内容の変更が必要になる時は登録免許税という税金がかかります。名義変更をするだけなら買い手側が負担しますが、売却に伴ってローンの繰り上げ返済を行い、抵当権の抹消が必要になった時などは売り手側にも支払いが生じます。
忘れずに確定申告を行い正しく納税を
不動産を売る時に発生する税金は所得税・住民税・印紙税の3種類ですが、場合によっては登録免許税を売り手が負担することもあります。このうち所得税及び住民税は確定申告が必要となるので、申告漏れ・納税漏れがないよう注意が必要です。